取材・文:TORU / 撮影:MOTTY

ラッパー・作詞家・ラップ講師として活動するマチーデフインタビュー

書籍「ラップの教科書」著者。ラッパー・作詞家・ラップ講師・役者として幅広い活動をするマチーデフ。HIP HOPの初期衝動から最近の活動、昨今のMCバトルブーム、今後の活動について伺いました。

マチーデフ(MACHEE DEF)

1980年東京都渋谷区生まれ。1997年にラップを始め、オトノ葉Entertainment(現在は活動休止中)のラッパー兼トラックメーカーとして数多くの作品をリリース。2011年4月からは東京アナウンス学院の講師としてラップ指導も行っている。2014年にソロとして初めてリリースしたアルバム「メガネデビュー。」はiTunesヒップホップアルバムチャートで1位を獲得。AKB48シングル「Green Flash」のラップ指導や、テレビ番組・CM・映画のラップ監修を務めるなど“ラップの先生”としても幅広く活動している。さらに2001年から2005年までは太田プロダクションでお笑い芸人としても活動するなど、異色な経歴も持つラッパー。

 

ラッパーの先輩に「何聴いてんだ?」って言われて

マチーデフインタビューイメージ1

T:ラップを始めたきっかけは何だったんですか?

 

僕が中学生の頃なんですけど、当時EAST END×YURIの「DA.YO.NE」とか「MAICCA〜まいっか」が流行っていて、友達とカラオケに行った時にノリで歌ったんですよ。サビ以外知らなかったんですけど、友達同士だと知らない曲でも入れちゃうときあるじゃないですか。そんなノリで「DA.YO.NE」を歌ってみたんですよね。そしたらサビは歌えるんだけど、他のラップパートがどうやって歌えばいいか分からない。だからとりあえず画面に出てきた歌詞をリズムに合わせて適当に口ずさんでみたわけですよ。そしたら意外に「あれ?オレ歌えてんじゃない?」みたいな気になったんですよね。

 

もちろん当時はフローもテクニックも何も分かってなくて、画面の歌詞を適当に歌ってただけなんですけど、歌ってて気持ち良かったんですよね。そのときに「ラップって面白い」って思ったんです。

 

で、インディーズバンドを紹介するテレビ番組(えびす温泉)とかでJラップのアーティストを見つけてはメモって、それで「ZINGI」「BRAND NEW MONKEYS」「EDU」なんかを知ってはCD屋に走って、お店で「ZINGIのCDありますか?」って聞いて買っていましたね。

 

当時はまだネットもないし、周りにラップを聞いてる人とか詳しい人もいなかったので、情報源はテレビだけでした。

 

 

T:それからスグにラップを始めたんですか?

 

少し経って高校2年のときですね。入学してすぐに出会ったラッパーの先輩「何聴いてんだ?」って言われて。それこそ当時の日本語ヒップホップシーンではEAST END×YURIとかのいわゆるJラップ系はワックだとかセルアウトだなんて言われてる時代だったんで、ボロクソ言われましたね。

 

でもそのことがきっかけでその先輩と仲良くなれて、日本語ヒップホップのベストみたいなカセットテープを作ってもらって、「BUDDHA BRAND」を知って、ヤベーってなって。さらにダンサーの友達に「WILD STYLE」BEAT STREET」「STYLE WARS」を教えてもらったりしてHIP HOPにどんどんハマっていきました。そのうち自分でもラップ書いてみようってなって、気づいたときにはリリックを書いてましたね。それから学祭でライブしたり。それがまさにHIPHOPの初期衝動です。

 

HOIPHOPの初期衝動のMV open_in_new

 

その後、高校を卒業して専門学校(お笑いコース)に入学して、べんちゃん( べんきち )と知り合い、その紹介で川村龍俊DJ BARYADJ TORUと出会い、2001年に発売されたDJ BARYAとDJ TORUアルバム「Rhyme Festa ’02」収録曲の「宴」に参加し、それをきっかけに翌年オトノ葉Entertainmentを結成することになりました。

ラップ指導は延べ300人以上

T:最近の活動についてお聞かせください。

 

TOYOTAのCMで妻夫木聡さんや山下智久さん、前田敦子さんにラップ指導をさせてもらいました。あとコメ兵のCMでもラップ指導をさせてもらいました。

 

 

T:ラップ指導とは具体的にどのような事をするのですか?

 

TOYOTAのCMで言えば、ラップの歌唱指導はもちろん、ラッパーっぽい歩き方や、ラッパーっぽい手の動きとかも指導しました。

 

 

一方、コメ兵の方はラッパーっぽい歌い方というよりはラップとセリフの中間ぐらい、普通のしゃべりに近いラップになるよう指導しました。

 

 

T:最近の活動ではラップ指導が多いのですか?

 

そうですね。ライブや作曲もしてるんですが、先生をやらせてもらっているのもあって、ラップ指導は増えてますね。いままでやってきた活動が少しずつ実ってきているカンジで、教える事・ラップ指導に関しては自信を持ってやらせてもらっています。

 

2011年4月からやっている東京アナウンス学院での授業もそうですし、個人レッスンやイベント、番組などでも教えさせてもらっているので、今までで延べ300人以上はラップを教えているんじゃないかと思います。

 

 

T:2012年にはラップの教科書という書籍も発売されていますよね?

 

書跡・DVDで学ぶ超実践的ラップ講座

書跡・DVDで学ぶ超実践的ラップ講座

ラップの教科書は上鈴木兄弟(P.O.P)に声をかけてもらって共著しましました。

 

ラップの教科書は、昨今のMCバトル・フリースタイルブームなんかの影響もあってか、いまになって問い合わせが増えていて、ありがたいことに色々なお店で品切れ状態のようです。

ビートに言葉がカチッとハマった時の気持ち良さ

T:今からラップを始める人にアドバイスなどがあれば教えてください。

 

僕自身がラップを始めたきっかけと同じで、カラオケで知らないラップ曲を適当に歌うとかは練習になりますよ。個人レッスンでもよくやる練習法です。

 

 

T:それはフリースタイルの練習にもなりそうですね。

 

そうですね。カラオケの画面に出てくる歌詞を自分なりのフローで歌うので、即興性をフロー言葉とで分けた場合に、次に何を歌おうっていう言葉の即興性は必要なくなるじゃないですか。だから必要なのがフローの即興性だけになるんですよ。

 

それで、まず自分なりのフローで歌えるようになる練習をして、それが出来るようになってから自分の言葉でラップをできるようにしていく。するとそれがもうフリースタイルになります。

 

最初はうまくビートにハメられなかったりするでしょうけど、慣れてくればそれもできるようになってくるし、個人的にはそれがラップの一番の魅力で、楽しさだと思ってます。ビートに言葉がカチッとハマった時の気持ち良さを、みんなにも味わって欲しいですね。

入り口はどんな入り口だっていい

T:最近のMCバトルの人気についてはどう考えていますか?

 

ありがたいの一言ですね。MCバトルの大会やフリースタイルダンジョンのおかげっていうか、僕の仕事は直接的に影響するものですから、このブームはありがたいです。

 

 

T:メディアでラップが取り上げられる事、すごく増えましたよね。

 

そうですね。MCバトルブームのおかげで、いま「様々なメディアやコンテンツでラップを面白がる動きがある」なと実感しています。そうした動きから「にわかファンばかりが増えるのでは?」、「HIP HOPが歪んで伝わるのでは?」という懸念もあるわけですが、裾野が広がる事によってコアなHIP HOPファンも必然的に増えていくわけで、僕自身がそうであったように入り口はどんな入り口だっていいと僕は思っています。

 

なので、僕はこのブームの間にHIP HOPへの入り口をどんどん増やして裾野を広げていきたいと思っているんです。

 

 

T:カルチャーとしてこの時代に残すことは目標でもありますね。

 

そうですね。日本のHIP HOP史を数年後に振り返った時に、この時代には「MCバトルがめっちゃ流行ったなー」って語られるときが来ると思います。

ディスるのが苦手

 

T:2010年のB BOY PARKのMCバトル予選で抹 a.k.a. ナンブヒトシさんとのMCバトルを最後に目立ってMCバトルの大会には出てないですよね?MCバトルに出ない理由とかがあるんですか?

 

これは単純に「ディスるのが苦手」ってのがあって、性格的に人をけなすとかディスるのがあまり好きじゃないんですよね。

 

あと結構前ですけど、とあるMCバトルの大会で勝った時、相手の取り巻きに試合後に裏で脅されて怖い目に遭った事があって。その時の事を振り返っても自分には向かないなって思います。
今のバトルは、その辺昔より健全になったみたいですけどね。

 

 

T:では何故その時期はMCバトルに出てたんですか?

 

その時期はそういう「ディスるのがあまり好きじゃない」っていう気持ちよりも、「とにかく名を売りたい!」っていう野心の方が強くて、MCバトルに出て優勝すればそれが叶う!って思ってたんですよ。MCバトルってそういう意味で、勝ち負けがハッキリしてるし優勝すればその中で一番になれるわけだし、結果が分かりやすいんですよね。だからその頃は積極的に出ていました。

 

でもまさにその2010年のB BOY PARK後ぐらい、2011年頃からラップ指導の仕事とかが増えてきて、その頃から「自分らしいスタイル」で活動していけるんじゃないかな?ってなってきて。それで、自然とバトルには出なくなっていった感じです。

 

 

T:ラッパーとして、より自分らしいスタンスで活動するようになっていったという事ですね。ちなみに機会があればMCバトルもやりますか?

 

機会があればやりますけど、いずれにせよディスるの苦手だからやっても負けそうですけどね。

 

4

 

T:個人的にはマチーデフのMCバトルも見たいところですね。ちなみにNHK「バナナ♪ゼロミュージック」でサイプレス上野さんと、いわゆる普通のMCバトルとは主旨が違いますが、フリースタイルを披露されていましたけど、あのような企画のバトルはいかがですか?

 

あの企画は「人生相談」という切り口で、「悩みに対してアドバイスをする」というルールだったので、普通のMCバトルより全然やりやすかったです。

 

基本的にフリースタイルとかサイファーは好きですからね。オープンマイクとかあればやるし、エンタメ色の強いMCバトルなら出てみたいです。

 

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